AIエージェント設計の進め方|業務活用のポイントを解説
生成AIの活用が広がる中、企業では文章生成や情報検索だけでなく、業務プロセスの一部を担う「AIエージェント」への注目が高まっています。
AIエージェントを業務で活用するには、単にツールを導入したりプロンプトを設定したりするだけでなく、どの業務を任せるのか、どのような処理を行わせるのか、必要なデータやシステムとどう連携するのかまで含めて設計することが重要です。
本記事では、AIエージェントを業務に組み込むための設計要素や具体的な進め方、設計時に押さえておきたいポイントを解説します。
自社業務のどこにAIエージェントを活用できるかを整理し、PoCや導入に向けた検討を進める際の参考にしてください。
Index
AIエージェント設計とは?業務活用に必要な設計要素
AIエージェントを業務で活用するには、AIに何をさせるかだけでなく、どの業務を担わせるのか、どのような情報やシステムと組み合わせるのかまで整理する必要があります。ここでは、AIエージェント設計で押さえておきたい基本的な要素を確認します。
AIエージェント設計では目的や役割を定義する
AIエージェントの設計では、まず「何のために活用するのか」「どのような業務を担わせるのか」を明確にします。AIエージェントは、質問への回答だけでなく、情報検索や確認、システム上の処理など、複数の業務を組み合わせて支援できるため、目的や役割によって必要な設計も変わります。
設計の前提として、主に以下のような点を整理します。
- AIエージェントを活用する目的
- 担当させる業務領域
- 期待する役割や成果
まずは「AIエージェントに何を担わせるのか」という全体像を明確にすることがポイントです。
AIエージェントを構成する要素を理解する
AIエージェントは、AIモデルやプロンプトだけで業務を完結させるものではありません。実際の業務で機能させるには、AIが参照するデータや業務フロー、必要に応じた外部システムとの連携なども含めて設計します。
主に、以下のような要素が設計対象となります。
- AIが参照するナレッジやデータ
- AIエージェントが実行する処理や業務フロー
- CRMや基幹システムなどの外部システムとの連携
このように、AIエージェント設計では、AIの回答内容だけでなく、業務の中でどのように情報を使い、処理を行うのかまで考えることが重要です。
AIエージェントの仕組みについては「AIエージェントの仕組みとは?生成AIとの違いや業務での動き方をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
AIエージェント設計の進め方|導入までのステップ

AIエージェントを業務に活用するには、いきなりツールを導入するのではなく、自社業務の整理から検証、改善まで段階的に進めることが重要です。ここでは、AIエージェントを業務に組み込むまでの基本的なステップを見ていきます。
自社業務を分析してAIエージェントの活用ケースを整理する
最初に、自社のどの業務でAIエージェントを活用するのかを整理します。このとき、単に「問い合わせ対応」「社内業務」といった業務単位で考えるだけでなく、実際にどのような問い合わせや依頼が発生しているのか、ケース単位で確認することがポイントです。
例えば問い合わせ対応であれば、同じ「問い合わせ」でも、情報を確認して回答するケース、複数の情報を調べるケース、システム上で手続きを行うケースなど、必要な対応は異なります。こうしたケースを整理することで、AIエージェントにどのような対応を担わせるのかを具体化しやすくなります。
まずは、以下のような観点から自社業務を整理します。
- AIエージェントを活用したい業務領域
- 発生している問い合わせ・依頼内容
- ケースごとの対応方法や必要な処理
こうした分析をもとに、AIエージェントの活用対象と設計の方向性を決めていきます。
AIエージェントでどのような業務を実現できるのか、具体的な活用範囲については、「AIエージェントの「できること」を整理|業務で活かすための基本理解」も参考にしてください。
業務フローを分解してAIエージェントの対応範囲を整理する
活用する業務やケースを整理したら、次に業務を具体的な工程へ分解します。AIエージェントは複数の処理を組み合わせて業務を支援できるため、業務全体を一連の流れとして捉えることが重要です。
例えば、問い合わせ対応であれば、次のような流れに分解できます。
問い合わせ受付
↓
必要情報の確認
↓
情報の検索・取得
↓
必要な処理を実行
↓
結果を案内
このように工程を分けることで、AIエージェントに任せる処理と、人による判断や対応が必要な部分を整理できます。
特に、AIエージェントが「回答するだけ」なのか、「情報を取得して処理まで行う」のかによって、必要となるデータやシステム連携も変わります。業務フローを分解することは、その後のエージェント設計につなげるための重要な工程です。
AIエージェントの役割と処理内容を設計する
業務フローを整理したら、AIエージェントが具体的にどのように動くのかを設計します。ここでは、先ほど分解した工程をもとに、AIが参照する情報や実行する処理、対応できない場合の引き継ぎなどを決めていきます。
例えば、次のような点を整理します。
- どの情報やナレッジを参照するか
- どの処理をAIエージェントが実行するか
- どの条件で次の処理へ進むか
- どのような場合に人へ引き継ぐか
業務上の動きを整理したら、その内容をAIエージェントへの指示や処理ルールに落とし込みます。プロンプトの設計については、「AIエージェントのプロンプト設計|重要なポイントや考え方を解説」でも詳しく解説しています。
AIエージェントに必要なデータ・ナレッジを整備する
AIエージェントが適切に回答や処理を行うには、参照する情報が整理されていることも重要です。業務フローや処理内容が決まったら、その業務を実行するためにどのようなデータやナレッジが必要なのかを確認します。
例えば、以下のような情報が考えられます。
- FAQや問い合わせ対応履歴
- 業務マニュアル
- 商品・サービス情報
- 社内ルールや手続きに関する情報
単にデータを用意するだけでなく、AIエージェントが必要な情報を適切に参照できる状態になっているか確認することも大切です。また、業務内容や商品情報などが変更された場合に、どのように情報を更新するかもあわせて考えておくと、運用後の改善につなげやすくなります。
PoCでAIエージェントの効果を検証する
設計したAIエージェントをいきなり全社・全業務へ展開するのではなく、まずは対象業務やケースを限定してPoCを行います。実際の業務に近い環境で検証することで、設計段階では見つけにくい課題を確認できます。
検証では、例えば以下のような観点を確認します。
- 想定したケースに適切に対応できるか
- 回答や処理の品質に問題がないか
- 業務時間や担当者の負担をどの程度削減できるか
- 利用者や現場担当者が使いやすいか
PoCで得られた結果をもとに、AIエージェントの役割や処理内容、データなどを見直し、本格導入につなげます。
運用後のテスト・改善でAIエージェントを最適化する
AIエージェントは、本格導入した時点で設計が完了するわけではありません。実際の利用状況を確認すると、想定していなかった問い合わせや処理パターンが発生することもあります。
そのため、運用後も利用データや対応結果を確認しながら、継続的に改善していくことが重要です。
例えば、以下のような改善を行います。
- AIエージェントの回答結果や対応状況の分析
- 新しいFAQや業務情報の追加
- 想定外のケースに対する処理フローの見直し
このように、「設計→PoC→運用→改善」というサイクルを回すことで、実際の業務に合わせてAIエージェントの対応品質や活用範囲を見直していきます。
AIエージェント設計で押さえるべきポイント

AIエージェントを実際の業務で活用するには、導入前に「どこまでAIに任せるのか」「どのように業務を遂行させるのか」を整理しておくことが重要です。ここでは、設計時に特に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
AIエージェントと人の役割分担を明確にする
AIエージェントに業務を任せる場合でも、すべての処理をAIだけで完結させる必要はありません。AIに任せる範囲と、人が判断・対応する範囲をあらかじめ整理しておくことで、実際の業務に組み込みやすくなります。
例えば、以下のようなケースを整理します。
- AIエージェントだけで対応できる業務
- 人による確認や判断が必要なケース
- AIから担当者へ引き継ぐ条件
特に、AIだけでは判断が難しいケースについて、どの条件で人に引き継ぐのかまで設計しておくことが重要です。
AIエージェントが実行する一連の業務フローを設計する
AIエージェントの特徴は、質問に回答するだけでなく、情報の取得や確認、システムとの連携、処理の実行など、複数のステップを組み合わせて業務を支援できることです。
そのため、個々の処理だけを見るのではなく、一連の業務をどのようにつなげて実行するかを考える必要があります。
例えば、次のような観点で整理します。
- 必要な情報をどこから取得するか
- 取得した情報をもとにどの処理を行うか
- 処理結果に応じて次に何をするか
こうした流れを設計しておくことで、複数の処理を組み合わせて、業務を一連の流れとしてAIエージェントに任せられるようになります。
複雑な業務ではマルチAIエージェントを検討する
業務が複雑になると、1つのAIエージェントに多くの役割を持たせるのではなく、役割ごとに複数のAIエージェントを組み合わせる方法も選択肢になります。
例えば、問い合わせ対応であれば、次のように役割を分担できます。
- 問い合わせ内容を整理するエージェント
- 必要な情報を検索するエージェント
- 手続きや処理を支援するエージェント
複数のエージェントに役割を分けることで、それぞれの業務や処理に合わせて指示や参照する情報などを設計しやすくなります。また、必要なエージェントを組み合わせることで、1つのエージェントでは対応が複雑になりやすい業務も整理しやすくなります。
特に、複数の業務領域やシステムが関係するケースでは、すべての処理を1つのエージェントに集約するのではなく、役割に応じて分担させる設計が適している場合があります。
マルチAIエージェントの考え方や活用方法については、「マルチAIエージェントとは?仕組みと導入メリットを徹底解説」の記事で詳しく解説しています。
自社に適したAIエージェント活用を検討するために
AIエージェントを業務で活用するには、プロンプトの作成だけでなく、対象業務や対応範囲、業務フロー、必要なデータやシステム連携まで含めて設計することが重要です。また、PoCや運用後の改善を通じて、実際の業務に合わせて対応内容を見直していくことも欠かせません。
AIエージェントの活用方法は、業務内容や処理の複雑さによっても変わります。1つのAIエージェントで対応する方法に加え、複数のAIエージェントを役割ごとに組み合わせるマルチAIエージェントなど、業務に応じた構成を検討することもできます。重要なのは、特定の構成に当てはめるのではなく、自社の業務やシステム環境に合わせて適切な方法を設計することです。
そのため、AIエージェントを実際の業務へ組み込む際には、業務内容や利用シーンに応じて柔軟にAIを構成できる基盤を選ぶこともポイントになります。
CAT.AIでは、企業の業務や利用シーンに合わせてAIを活用できるAIコミュニケーション基盤を提供しています。今回解説したような、業務の整理やAIエージェントの役割設計、必要な情報・システムとの連携などを踏まえ、業務に合わせたAI活用を検討できます。
AIエージェントを自社の業務でどのように活用できるのか、具体的な活用イメージや導入時に検討すべきポイントを知りたい方は、サービス紹介資料をご覧ください。AIエージェントの活用方法や構成を確認することで、自社での活用可能性を整理し、具体的な導入検討や社内提案を進める際の参考にできます。
CAT.AIのご紹介資料です。自動化の目的や業務に合わせて、チャットボット・ボイスボット・AIエージェント・マルチAIエージェントなど、最適なAIによる対話を実現します。各サービスの特徴や、イメージについて紹介しています。
この記事の筆者
株式会社CAT.AI
マーケティング部門
CAT.AI(キャット・エーアイ)は、2026年4月に設立された株式会社トゥモロー・ネットの子会社で、「Customer Agent of Tomorrow.AI」を由来とするAIコミュニケーションプラットフォーム「CAT.AI」の企画・開発・提供を行っています。「ヒトとAIの豊かな未来をデザインする」をビジョンに、ボイスボットとチャットボットを統合した「CAT.AI マルチAIエージェント」を展開。独自の自然言語処理(NLP)技術と柔軟な設計基盤を強みに、社会インフラ、金融、流通、コールセンターを含むエンタープライズ領域において、顧客接点の自動化を通じた業務効率化と顧客満足度の向上の両立を支援しています。


