AIエージェント導入事例|企業の活用方法や導入効果を解説
AIエージェントの導入を検討する際、「実際に企業ではどのように活用しているのか」「導入によってどのような効果が得られているのか」と、具体的な事例を知りたい方も多いのではないでしょうか。
AIエージェントは、質問への回答だけでなく、必要な情報を取得したり、外部システムと連携したりしながら、複数の工程を含む業務を支援できる点が特徴です。そのため、問い合わせ対応や受付業務、情報提供など、さまざまな業務への活用が進んでいます。
本記事では、実際にAIエージェントを導入した企業の事例を取り上げ、導入前の課題や具体的な活用方法、導入によって得られた効果を紹介します。さらに、事例から見えてくる業務の変化や、導入時に確認しておきたいポイントも整理します。
実際の導入事例を通じて、AIエージェントがどのような業務で活用され、従来の業務をどのように変えられるのかを具体的に理解できます。
Index
AIエージェントとは?生成AIやチャットボットとの違い
AIエージェントの導入事例を見る前に、生成AIやチャットボットとの違いを簡単に整理します。
AIエージェントと生成AI・チャットボットの違い
生成AIは、入力された指示をもとに文章や画像などを生成するAIです。チャットボットは、FAQやナレッジなどをもとに、ユーザーからの質問に回答する用途で活用されています。
一方、AIエージェントは、ユーザーの目的に応じて必要な情報を取得したり、外部システムと連携したりしながら、複数の処理を進められる点が特徴です。
たとえば、顧客からの問い合わせに対して、FAQを回答するだけでなく、顧客情報や注文履歴を確認し、その内容に応じた案内まで行うといった対応が考えられます。
AIエージェントが実際にどのような業務で活用されているのか、具体例については「AIエージェントの活用例10選|業務別にできることを紹介」でも詳しく解説しています。
AIエージェントでできること|情報収集から業務処理まで対応
AIエージェントでは、業務の目的に応じて複数の処理を組み合わせることができます。代表的なものは次のとおりです。
- 情報の検索・収集
- データの整理・分析
- 外部システムとの連携
- 手続きや業務処理の実行
このように、単に質問へ回答するだけでなく、情報の取得から処理まで複数の工程をつなげて業務を支援できることがAIエージェントの特徴です。具体的な活用範囲や業務への適用例については、「AIエージェントの「できること」を整理|業務で活かすための基本理解」で詳しく解説しています。
AIエージェントの導入事例|企業の活用方法と効果
AIエージェントは、問い合わせ対応や受付、情報提供など、さまざまな業務で活用され始めています。実際の企業事例を見ると、情報を検索・取得したり、システムと連携したりしながら、業務の一部を担うケースもあります。
ここでは、国内2社と海外1社の事例を取り上げ、どのような業務でAIエージェントが活用され、どのような効果につながっているのかを紹介します。
Gigi|AIエージェントによる顧客対応自動化の事例

Gigi株式会社では、「ごちめし」「びずめし」などのサービス拡大に伴って問い合わせ件数が増加し、外部コンタクトセンターを中心とした対応によるスタッフの負担やコスト増加が課題となっていました。
そこで、24時間365日の顧客対応と業務効率化を目的に、SalesforceのAIエージェント「Agentforce」を導入しています。
AIエージェントで顧客情報を参照した問い合わせ対応を自動化
Gigiでは、AgentforceとSalesforceのData Cloudを組み合わせ、FAQなどのナレッジに加えて、顧客の購入履歴なども参照できる環境を構築しました。
電話やメールの初動対応をAIエージェントが担うほか、領収書の再発行に関する問い合わせでは、顧客情報を検索して必要な案内を行うといった対応も実施しています。
導入後は、人手による対応業務を70%削減。従来7人月必要だった業務を2人月まで減らしながら、24時間365日の顧客対応を実現しています。AIエージェントを顧客対応に組み込むことで、少人数でも継続的に問い合わせへ対応できる体制につなげています。
【参照情報】
Salesforce公式「Gigi、Agentforceを導入し24時間365日の顧客対応を実現」
クリエイトエス・ディー|薬局受付AIエージェントによる患者対応の効率化事例

株式会社クリエイトエス・ディーでは、処方せんを提出した後に外出し、後から薬を受け取りに戻る「お戻り患者」の再来局時の受付などが、店舗スタッフの負担となっていました。
そこで、調剤薬局の受付業務を効率化するため、MG-DXの「薬局受付AIエージェント」を導入しています。
AIエージェントが受付・案内を担い店舗業務を効率化
薬局受付AIエージェントでは、AIによる音声案内・受付と遠隔スタッフによるフォローを組み合わせ、患者の受付や必要な案内を行います。
特徴的なのは、AIが情報を案内するだけでなく、患者の受付という実際の店舗業務の一部を担っていることです。これにより、患者への対応を効率化するとともに、薬剤師や店舗スタッフの負担軽減につなげています。
導入によって、患者の待ち時間を約2~3分短縮したほか、受付後1分以内に薬を渡せるケースも増加しました。患者側の利便性向上と、店舗スタッフの業務負担軽減を同時に実現した事例といえます。
【参照情報】
MG-DX「クリエイトエス・ディー、薬局受付AIエージェントを導入」
薬急便「患者の待ち時間を約3分短縮 患者体験と従業員の働きやすさを両立」
CSX|AIエージェントを活用した物流情報提供の事例

米国の鉄道会社CSXでは、Microsoft Copilot StudioとMicrosoft Foundryを活用し、顧客向けAIアシスタント「Chessie for ShipCSX」を構築しています。Chessieでは、複数のAIエージェントが連携してバックエンドシステムから必要な情報を取得し、顧客からの依頼に応じて物流情報を提供します。
CSXは、顧客が複数のシステムや情報を探し回ることなく、自然な言葉で貨物追跡などの必要な情報を確認できる環境を目指しました。
複数のシステムから必要な情報を取得
Chessieは、FAQなどのナレッジだけでなく、バックエンドシステムからリアルタイムデータを取得できます。
例えば、顧客が貨物の追跡を依頼すると、必要な情報を取得して現在の状況を提示します。配送スケジュールの確認や、Salesforceでのケース作成・管理などにも対応しています。
さらに、その裏側では複数のAIエージェントが役割を分担しています。認証や質問の振り分け、リアルタイムデータの取得などをそれぞれのエージェントが担い、連携して処理を進める仕組みです。
導入後45日間で1,000人以上の顧客が利用し、4,000件以上の会話を実施。顧客自身による貨物追跡や物流情報の確認を支援しています。
この事例は、AIアシスタントの裏側でAIエージェントが連携し、ナレッジの検索だけでなく、複数のシステムから情報を取得して必要な処理につなげている例です。また、複数のAIエージェントを連携させることで、より複雑な業務にも対応しています。
AIエージェント導入で変わる業務の進め方
AIエージェントを業務に組み込むことで、問い合わせ対応や情報収集、複数の業務工程など、さまざまな場面で業務の進め方を変えられます。ここでは、具体的な変化を整理します。
問い合わせ対応の品質と効率を向上できる
AIエージェントを活用すると、FAQを提示するだけでなく、顧客情報や社内ナレッジなどを参照し、問い合わせ内容に応じた対応を行えます。
定型的な問い合わせをAIエージェントに任せることで、人は複雑な問い合わせや個別対応など、より高度な業務に集中しやすくなります。顧客ごとに必要な情報を確認して対応することで、より個別性の高い問い合わせにも対応しやすくなります。
担当者の判断や提案業務を支援できる
複数の資料やデータから必要な情報を取得・整理し、担当者が判断しやすい状態をつくることもできます。
情報検索や確認にかかる時間を減らすことで、担当者は判断や提案、顧客対応など、人が担うべき業務に集中しやすくなります。特に、複数の情報源を確認する必要がある業務では、情報収集にかかる負担の軽減が期待できます。
業務プロセス全体を効率化できる
情報確認・整理・処理・報告など、複数の工程を含む業務にも活用できます。
例えば、必要な情報をシステムから取得し、内容を整理したうえで所定の処理まで行うなど、単一作業ではなく一連の業務フローを効率化できます。これにより、担当者が個別の作業を順番に進める負担を減らせます。
マルチAIエージェントによって複雑な業務にも対応できる
さらに、業務が複雑になると、一つのAIエージェントだけではなく、複数のAIエージェントがそれぞれ異なる役割を担う「マルチAIエージェント」という考え方もあります。
例えば、あるAIが情報を収集し、別のAIが分析や整理を行うといった役割分担によって、複数の工程やシステムにまたがる業務にも対応しやすくなります。
複数のAIエージェントを連携させる仕組みや活用方法については、「マルチAIエージェントとは?仕組みと導入メリットを徹底解説」で詳しく解説しています。
AIエージェント導入時に確認すべきポイント
AIエージェントを導入する際は、導入すること自体を目的にせず、どの業務に活用するのか、どこまでAIに任せるのかを整理することが重要です。ここまで紹介した事例を踏まえ、自社で活用する際に確認しておきたいポイントを3つ紹介します。
AIエージェントに任せる業務範囲を明確にする
まず、AIエージェントを使ってどの業務課題を解決したいのかを明確にします。
例えば、問い合わせ対応の一部を効率化したいのか、情報検索の負担を減らしたいのか、受付や申請などの業務まで自動化したいのかによって、必要な仕組みは変わります。
また、すべての業務をAIに任せるのではなく、AIと人それぞれの役割を決めることも重要です。定型的な対応や情報収集をAIが担い、判断や個別対応を人が担うなど、業務プロセスの中でAIに任せる範囲を設計することが導入効果につながります。
業務システムやデータとの連携を検討する
AIエージェントの活用範囲を広げるには、社内のデータや既存システムとの連携も重要なポイントです。
FAQやマニュアルだけを参照する場合と、CRMや基幹システムなどから顧客情報・在庫・契約情報などを取得できる場合では、AIに任せられる業務の範囲が異なります。
そのため、自社の業務でAIにどの情報を参照させるのか、どのシステムと連携する必要があるのかを事前に整理しておくことが重要です。
単一AIとマルチAIエージェントを使い分ける
AIエージェントを導入する際は、業務の複雑さに応じてAIの構成を検討する必要があります。
一つのAIエージェントで完結できる業務であれば単一AIエージェントが適しています。一方、情報収集・分析・処理など複数の工程があり、それぞれ異なる役割が必要な場合には、複数のAIエージェントを連携させる方法も考えられます。
業務プロセスに合わせて、必要なAIの役割や連携方法を設計することが重要です。
AIエージェント導入では業務課題に合わせた設計が重要
AIエージェントは、生成AIやチャットボットのように質問へ回答するだけでなく、必要な情報を取得したり、外部システムと連携したりしながら、さまざまな業務を支援できます。今回紹介した事例でも、顧客対応や店舗業務、物流情報の提供など、実際の業務に組み込まれて活用されています。
一方で、AIエージェントを導入すること自体を目的にするのではなく、自社の業務課題や目的に応じて、AIに任せる範囲や必要なシステム連携を設計することが重要です。業務が複雑になる場合は、複数のAIエージェントが役割を分担するマルチAIエージェントも選択肢になります。
CAT.AIでは、顧客対応領域を中心に、AIエージェントやマルチAIエージェントを活用した業務効率化を支援しています。単一のAIを導入するだけでなく、業務の目的やプロセスに応じたAIの構成や、既存システムとの連携まで含めて、業務課題に合わせたAI活用を検討できます。
サービス紹介資料では、AIエージェントやマルチAIエージェントの活用方法や構成例を紹介しています。自社の業務課題に合ったAI活用を検討する際の参考としてご覧ください。
CAT.AIのご紹介資料です。自動化の目的や業務に合わせて、チャットボット・ボイスボット・AIエージェント・マルチAIエージェントなど、最適なAIによる対話を実現します。各サービスの特徴や、イメージについて紹介しています。
この記事の筆者
株式会社CAT.AI
マーケティング部門
CAT.AI(キャット・エーアイ)は、2026年4月に設立された株式会社トゥモロー・ネットの子会社で、「Customer Agent of Tomorrow.AI」を由来とするAIコミュニケーションプラットフォーム「CAT.AI」の企画・開発・提供を行っています。「ヒトとAIの豊かな未来をデザインする」をビジョンに、ボイスボットとチャットボットを統合した「CAT.AI マルチAIエージェント」を展開。独自の自然言語処理(NLP)技術と柔軟な設計基盤を強みに、社会インフラ、金融、流通、コールセンターを含むエンタープライズ領域において、顧客接点の自動化を通じた業務効率化と顧客満足度の向上の両立を支援しています。

